手織り絨毯の歴史は古く3,000年前とも5,000年前とも言われています。確証はないのですが、元々絨毯は中央アジアの遊牧民族が生活必需品として自分達で織り、使い始めたと言われています。中央アジアの広大な草原や砂漠、山岳地帯を移動しながら暮らす遊牧民にとって、時には布団代わりに、時には食事のテーブル代わりに、時には寒さをしのぐコート代わりに、またある時には物を包む風呂敷代わりに使われていたものが、自分達が育てていた羊から刈り取るウールで織られた手織り絨毯だったのです。
そんな古代から現代へと脈々と受け継がれてきた手織り絨毯の中からライオンラグスでは、ペルシャを中心にトルコやアフガニスタン、パキスタンなどの国々で織られた絨毯を店舗にてご紹介しています。

一口に手織り絨毯と言っても、絨毯を織る地域や国によってその織り方やデザイン、配色などが千差万別です。ここでは主に4ヶ国の手織り絨毯についてご説明致します。

ペルシアペルシア絨毯一覧

現在のイラン・イスラム共和国で織られた絨毯の事を言います。品質・その価値・歴史・製作枚数・産地の豊富さなどを見ても手織り絨毯生産地の最高峰と言っても過言ではないでしょう。
アメリカのメトロポリタン美術館、ロシアのエルミタージュ美術館、イギリスのヴィクトリア・アルバート美術館などにペルシャ絨毯が収蔵されていることや、クリスティーズやサザビーズなどの世界的なオークションハウスでペルシャ絨毯が出品されていることから、世界中にその品質と価値が認められている絨毯であることがお分かりいただけるかと思います。
そのペルシャ絨毯も産地によって色々な特徴があります。イラン全土の数多ある産地
の中から日本で有名な産地をご紹介します。

クム

イランの中でも後発産地であるクムは特にオールシルクの絨毯製作に力を入れていて、その華やかな色彩と光沢は日本で大変人気があります。また、宗教色の強い土地柄でありながら、伝統にこだわることなく、斬新なデザインや配色を好んで取り入れています。シルクの絨毯はウールの絨毯に比べて敷く向きによっての色の変化が大きいので、その変化を楽しむ為には気軽に敷く向きを変えられる大きさのものをおすすめします。

ナイン

クムと同じく絨毯製作の歴史は浅く、ナインから程近いイスファハンの職人から絨毯製作の指導を受けたため、デザインは正統派好みの古典的なものが多く見受けられます。ナインの絨毯の特徴は、ベージュ、クリーム色などを基調とした淡く落ち着いた配色にあります。そのため日本の家屋にも合わせやすく、和室でも洋室でもしっくりとなじみ、お部屋が明るくなります。

イスファハン

16世紀から17世紀にかけてのサファヴィー朝の首都であったイスファハンは、日本で言えば京都や奈良のような歴史と伝統の町です。イスファハンでは、驚異的な細かい織りと繊細で華麗な色調が伝統と融合した見事なデザインの絨毯を数多く作っています。お部屋の雰囲気を格調高くしたい時などにイスファハンの絨毯を敷くと、ものの見事に応えてくれます。

タブリーズ

イランとトルコの国境近くにある町タブリーズは、シルクロードのイランの西の玄関口として古くから交易の要衝として栄えました。タブリーズの絨毯工房はイランでも最も近代的と言われ、品質管理が徹底していることでも定評があります。デザインのレパートリーの豊富さと緻密な織りでもんようのどんな部分でも正確な為、機械織りと間違えられるほどです。また、写真や絵のような写実的な絵画絨毯を得意にしている産地でもあります。

カシャン

カシャンは古くから工芸の町として中近東ではその名を広く知られていました。極度に暑く乾燥した気候の中でストイックに生きてきたカシャンの人々が織る絨毯は、奇抜な文様や外国人の嗜好におもねるようなデザインはなく、典型的なメダリオン&コーナーデザインの均整のとれたオーソドックスな絨毯がほとんどです。ホワイトカシャンと呼ばれる全体がベージュ系の配色のカシャンの絨毯は、和室にとても合います。

シラーズ

イランの南部にあるこの町は古くからワインとバラで知られてきました。市場でシラーズとして取引される絨毯は、その多くがイラン南部のファース州にいるルリ族(ペルシャ系)、カシュガイ族(トルコ系)、ハムセ族(アラブ系)などの遊牧民が織った絨毯です。遊牧民が織る絨毯は、他の都市産地とは違いデザイン画を見ながら絨毯を織ることはあまりなく、織子が自分の頭の中のイメージやその部族特有の伝統的なデザインを基にして絨毯を織っていきます。

ギャベ

ペルシャ絨毯は一般的には産地や部族の名前で呼ばれますが、ギャベはそのどちらでもなく、ペルシャ語で「短く刈り込んでいない」という意味があります。ギャベのほとんどがシラーズの遊牧民によって織られていて、その手作りの素朴さと草木染めによる自然な色合いが、現在、世界的な人気を博しています。また、他の部族絨毯と同じくデザイン画はなく、織子の即興でデザインが決まる為、全く同じデザインのものを探すのは困難です。

トルコトルコ絨毯一覧

東洋と西洋の交差点として古くから栄えたトルコは、かつてアナトリアの名前で絨毯の産地として知られていました。15世紀以降に織られたトルコ絨毯が現在でも数多く残っており、ペルシャ同様絨毯製作の歴史の長さが窺えます。トルコのキリム(平織り)は世界中で人気があり、洗練されたその配色と毛足がなく薄くて軽いので、床に敷く用途以外にもソファーやベッドのカバーとして、また壁掛けのタペストリーとしてなど様々な使い方ができます。また、日本ではシルクで織られたヘレケの絨毯も人気があります。

パキスタンパキスタン絨毯一覧

1947年にインドから独立したパキスタンでは、ムガール帝国時代の影響を受けながらも、近年ではボハラという独特な幾何学文様と独自の洗い方によって光沢が出る絨毯を多く生産しています。

アフガニスタンアフガニスタン絨毯一覧

アフガニスタンの絨毯作りの歴史はペルシアとほぼ同じ長さを持ちながら、シルクロードの中間点という立地から様々な国からの侵略を受け続け、産業としての絨毯製作というより生活必需品としての絨毯作りの意味合いが強く残っています。